残暑お見舞い申し上げます。今年の夏は異常な暑さ。
おまけに残暑も厳しく長くなるのだとか・・・。
くれぐれも、熱中症や夏バテにはご注意くださいね。
さて、江戸の夏とてあつかったのですけれど、これほどではありますまい。
電気のない時代、それはそれでさまざまな夏の工夫や、暮らしぶりがありました、
そのひとつ、江戸の夏の風物詩でもあるのが「冷や水売り」。
「ひゃっこい、ひゃっこい!」
という売り声とともに、
湧水などの清水を汲み、江戸市中を売り歩きます。
まだ冷却装置も、まして庶民の口には
夏の氷など入らない時代、
冷たい感じのする水は、炎天下での何よりのご馳走でした。
(将軍家などは夏に氷を食べましたけれどね)
でも、いかな清水でも炎天下を運べば、生ぬるくなります。
そこで水売りは、たいていは、
真鍮(しんちゅう)や錫(すず)などの金属の椀を用意し、
それに清水と共に、
白砂糖と、寒晒粉(白玉粉)の小さな団子(小さな白玉)
を入れて、お客に出します。
これらの金属は、熱伝導率が高いので、
触れた感触が冷たかったのでしょう。
一杯が四文ですが、砂糖をもっと足して!
と注文しますと、八文や十二文になります。
『江戸浮世人形』より「団十郎の冷や水売り」
人形の高さは15センチくらいです。
京・大坂にもあり「砂糖水売り」と呼んでいます。
こちらは、白玉なしで、白砂糖だけの砂糖水です。
この時代、黒砂糖は安かったのですけれど、
白砂糖は高級品ですから、その上品な甘さも、
冷たさとは別の「おいしい水」として、
夏のご馳走だったのでしょうね。
(実際にはこんな子供の水売りはいません) でも、ぬるいのには変わりなく、
「ぬるま湯を 辻辻で売る 暑いこと」
な~んて川柳もあります。
*註 1文は20~25円です。時代や、研究者によって異なりますが、ま、だいたいそれくらいです