「秋草の娘」

f0186852_14562220.jpg

「秋草の娘」 


「萩が花尾花葛花撫子の花女郎花また藤袴朝顔の花」と、
山上憶良が詠んだ歌が『万葉集』に収められている。
憶良はまた
「秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花」
とも詠んでいる。
この七種が「秋の七草」で、
「春の七草」が食用の草を対象としているのに、秋は鑑賞用の草花になる。
したがって秋の七草の取り合せの美しさは、染色、工芸、絵画にと描かれる。

「萩」は野山でもごくふつうに見られ、
根や茎は頭痛やめまいに効果があるといわれる。
「尾花」は穂の出たススキのこと。
雑司が谷の鬼子母神のススキのみみずくは、
浮世絵にも描かれる古くからのみやげもの。
「葛」は全国どこの山野にでもあり、
根からは葛粉や風邪薬として今も一般的な葛根湯がとれる。
「撫子」は鮮やかなピンクの花を付けるので、色のpinkは撫子に由来する。
種は薬用となり利尿や消炎剤となる。
「女郎花」も秋草の代表格の黄色が鮮やかな花で、
これも根は利尿や消炎、膿を出す薬となる。
「藤袴」は淡いピンクがかった小さな花を付ける。
「朝顔」は桔梗の古名で、根は痰切りや排膿薬として用いられる。

 この作品は、黒襟をかけた、藍鼠色に大柄の花と貝文様の振り袖に、
段染の麻の葉絞りの帯を、引き抜きに結んだ娘。
手には、摘んで来たばかりの尾花と桔梗。
秋の花を供えて待つ今宵の月は、十七夜である。





*注 十七夜は、この作品上の設定です。






*すべての作品、文章の無断転写、複写を禁じます。
[PR]
by edo-ukiyo-doll | 2010-10-23 15:00 | 「江戸浮世人形」 | Comments(0)

「江戸浮世人形」人形師・岩下深雪の江戸はここにあり       ホームページ開設 http://edoukiyoningyo.edo-jidai.com


by edo-ukiyo-doll