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寒い夜はさしつさされつ小鍋たて


はじめて小鍋立てなるものを知ったのは、
10余年前、池波を読んでいてだった。
「鬼平」にも、「梅安」にも登場する。
「剣客商売」には、さてどうだったか、記憶が定かではない。

「しんねこ」という言葉も、池波の本で知ったのではと思うが、
まあ、しんねこな二人が食べるには、小鍋立て。
親密な二人が、親密にお話なんかしちゃってる様子が、
しんねこ・・・って感じらしい。
そんな粋なことになったことがないので、
よくはわからないが、小鍋立てならよくやる。

小鍋立ては、別に二人でなくったってできる。
一人で十分。
小さな土鍋に出汁を入れ、煮ながらいただく。
材料は2,3種類。
それ以上は、小鍋立てには、ちと重い。

池波に出てくる材料は、
「大根と浅利の剥き身」とか、「豆腐と大根」「豆腐と油揚げ」
など、本当に簡単なもので、薄い出汁で煮ている。
材料を入れるそばから引き上げて、はふはふといただくのがよろしい。





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左小鍋たてを楽しんでる画だが、
「じいさんは慈姑(くわい)の煮物を肴に酒を飲む」
てなことを書いてあるらしい。


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                    上はこれをもとにした作品「小鍋たて」。
高さは6センチほど。



火鉢でね、小鍋立て。
小鍋立ては、独身の男が多い江戸で生まれた、独身男料理。
簡単、便利、この上ない。
それがいまや、江戸の粋な食べもの、食べ方となって
「サライ」の特集なんぞになっているのだから、たいしたものだ。


よくやる小鍋立てはというと、
「京菜と油揚げ」、「豆腐と大根と鱈」、「豆腐と蛤」など。
以前「はまぐりびな」といって、
蛤の貝の中に入る小さなおひな様をつくる教室もやってたので、
せっせと蛤をいただく羽目になったことがあった。
だもんで蛤にはちとウルサいが、
煮すぎると、蛤以外も貝は硬くなるのでご注意。


一番好きなのは、鴨と芹を鉄鍋でいりつけ、酒、砂糖、
しょうゆで味付けして、卵をつけていただく。
鴨というと贅沢と思われるかもしれないが、
故郷の津軽ではこの時期になると、肉屋さんでフツーに「鴨肉あり升」の張り紙が出る。


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上の浮世絵は幕末のもので、桑の長火鉢の五徳に鉄鍋をかけて、小鍋立てをする女。
膳もかなり豪勢で、芸者といったところか。
こんな具合に、小鍋立てはごくフツーになされていた。
それを、「粋な食べ方」にまで昇格させたのは、池波の腕かもしれない。



ちなみに私、今夜は、新米のきりたんぽ。
小鍋立てじゃなくて、ごめんなさいね! でへへ、ばり、うまいっす!







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Commented by くらもと at 2010-11-12 13:56 x
ブログ拝見したのですが、[左小鍋たてを楽しんでる画]の画を入手したいのですが。タイトルなどわかりますか?何かの文献の挿絵などでしたらその文献名をお教えいただきたいのですが。
突然すみませんがどうぞよろしくお願いいたします。
Commented by edo-ukiyo-doll at 2010-11-14 22:05
くらもとさま。

お返事が遅くなり、申し訳ありません。

小鍋立ての画ははて、どこからいただいたものやらずいぶん古いモノクロコピーでかすれておりまして・・・。
かろうじて『地口絵手本』という文字が残っておりますので、ここから印刷されたものではないかと思われます。
断定はできませんけれど、そこらへんを当たっていただければよろしいかと思います。
by edo-ukiyo-doll | 2010-11-06 23:46 | 江戸歳時記 | Comments(2)