おのおの方、討ち入りでござる。

f0186852_20505856.jpg

3代豊国画「仮名手本忠臣蔵・十,十一段目」



時は元禄15年、12月14日・・・・
みなさまご存じ(ご存じない方もおいでですね)、
赤穂の浪士、吉良邸討ち入りの日です。
この時期になりますと、ときどき
「雪を踏みしめサク、サク、サクサクサク・・・・・」
とつい口をついて出てしまいます。


f0186852_20511645.jpg
f0186852_20513440.jpg




3代豊国画「於加留」       

国芳画「5段目・定九郎、勘平」



『忠臣蔵』という話に惹かれるのは、
あだ討ち物が好きなわけでも、討ち入りにワクワクするわけでなく、
四十七人それぞれに物語があり、
彼らを取り囲む人間模様、大工の娘から将軍まで、
またそれぞれに人生があり、
それをスパッと切った断面を見せてくれるからなのです。

古い映画で『グランド・ホテル』というのがあります。
「ホテルには100の扉、ひとつの廊下があり、部屋の数だけ物語がある」
映画の中で、そう語られます。
『忠臣蔵』または『赤穂浪士』の魅力は、まさにそこにあります。
あるいはアガサ・クリスティーの『オリエント急行殺人事件』。
容疑者一人ひとりの人生が描かれ、そして静かに、
殺人=討ち入りへと、突入していきます。



f0186852_20515653.jpg

北斎画「浮絵・忠臣蔵夜討之図」


みなそれぞれに、悩み、苦しみ、惑い、ほのかな希望を持ち、挫折し、決断を迫られ・・・・
人間とはかくも愛おしいものなのか・・・・
長い間に話は誇張され美化され、事実とはかけ離れたかもしれません。
たとえば、寺坂吉右衛門は四十七士に入れないという説もあります。
彼は吉田忠左衛門の足軽でしたので、武士ではありませんでした。
遁走されたといわれ続けていましたが、
大石内蔵助の命を受け、瑶泉院に報告し、83歳で没するまで、
遺族たちのために奔走し続けたとも解釈され、
池宮彰一郎の『最後の忠臣蔵』に描かれます。

またこれも、逐電されたとされる赤穂藩国家老・大野九郎兵衛も
悪人扱いされ続けてきましたけれど、
いやいや、実は・・・・
かれもまた、大いに注目すべき人物でしょう。
天野屋利兵衛にいたっては、この人を中心に、
赤穂浪士の話を作っても面白そうです!


f0186852_20524865.jpg
国貞画「大橋力弥」




f0186852_20531230.jpg     

国貞画「堀部弥兵衛と安兵衛」





吉良邸跡や泉岳寺に詣でる趣味はありませんけれど、
四十七士に関係した人々もまた、とても魅力的です。
今のところ、吉良邸討ち入りの日、蕎麦屋の二階に集結したとされますが、
果たしてこの頃店として蕎麦屋があったか・・・疑問です。
そんな、さまざまな興味を投げかけるこの事件は、
いつの世にも人間の普遍性を内包して、
人々を惹き付けるのでしょう。
[PR]
by edo-ukiyo-doll | 2010-12-14 19:34 | 江戸歳時記 | Comments(0)


「江戸浮世人形」人形師・岩下深雪の江戸はここにあり       ホームページ開設 http://edoukiyoningyo.edo-jidai.com


by edo-ukiyo-doll

プロフィールを見る
画像一覧

カテゴリ

全体
ごあいさつ申し上げます
「江戸浮世人形」
いろんなお知らせ
江戸の文様・江戸の色
江戸歳時記
浮世絵・絵師
江戸の女性たち
江戸の食べ物
ご報告など
江戸の子どもたち
my favorite
江戸ぐらし
江戸の町
ほかの制作物
江戸の園芸
都市伝説
江戸の旅
ああでもねえこうでもねえ

最新の記事

朝顔売りがやってくる朝
at 2017-08-16 12:52
吉原の桜
at 2017-04-21 11:43
「天下祭」の山王社
at 2017-03-10 18:00
大網茶話会が終わって
at 2017-02-15 11:01
第18回「江戸茶話会」のお知..
at 2017-01-12 18:52

以前の記事

2017年 08月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 03月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 05月
2014年 03月
2014年 02月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 06月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 01月
2008年 10月
2008年 09月

お気に入りブログ

一日一膳
 フランス生活便り
ハッピー☆バレリーナ!
江戸・東京ときどきロンドン
☆ねこにはかなわぬ☆
ナチュール blog
イギリス ウェールズの自...
ミネキク はんこノート
いつものごはん
倫敦のハムステッド・ヒースから
NO ANCHOVY, ...
手作りな暮らし Atel...
フレンチシックな家作り。...
Art Lesson
イヌ ト ゴハン ト ザッカ。

最新のコメント

田中様 房総半島に『江..
by edo-ukiyo-doll at 21:17
河田さま。 お返事..
by edo-ukiyo-doll at 16:06
はじめまして。 陶芸家..
by 河田義之 at 11:41
東雲さま。 ようこ..
by edo-ukiyo-doll at 18:18
本年もよろしくお願いいた..
by 東雲稲荷 at 16:44
rarirurareiさ..
by edo-ukiyo-doll at 11:38
rarirurareiさ..
by edo-ukiyo-doll at 11:36
現在、放たれた「鶏の群れ..
by rarirurarei at 12:13
鷲大明神社へ、毎年、農民..
by rarirurarei at 11:52
山中様 ながらくこ..
by edo-ukiyo-doll at 09:30

記事ランキング

検索

タグ

ファン

画像一覧