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忙しい初午の日

初午といっても、現代ではあまり行事としても行わなくなってしまいました。
2月の最初の午の日で、今年の初午は2月27日(旧暦)でした。
虫が這い出してくる「啓蟄」のころなので、
もうかなり暖かくなっています。
お稲荷さんのお祭りで、
江戸ではそれはそれはにぎやかなお祭りです。

江戸には稲荷の数がおびただしいほどあって、
「伊勢屋稲荷に犬の糞」といわれるほどですから、
横丁曲がればお稲荷さん・・・
という感じですね。
武家の家の敷地にもお稲荷さんがあり、
この日は門が開放されています。

お稲荷さんは痘瘡(ほうそう、天然痘のこと)を治すとも言われ、
当時は特に子どもには恐ろしい疫病でしたから、
お稲荷さんに子どもが詣るのですね。


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正月(1月)の末頃から、市中には太鼓を叩いて、
子ども相手の太鼓売りがやってきます。
子どもたちは太鼓を買ってもらって、叩いて遊び、
数人で狐を描いた絵馬を持って、
各家々の戸口に立ち、
「稲荷さんの御権化(おかんげ)、御十二銅おあげ・・・・」
とうたいますと、
ほんとうは12銭与えるのでしょうけれど、
実際は1銭あげたそうです。
子どもたちが勧進して歩く
・・・というところでしょう。




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          ↑王子稲荷の初午の賑わい



江戸の初午の日は、地口行灯の一大イベントの日でもあります。
「地口」とは今でいう「ダジャレ」に通じるものですが、
れっきとした言葉遊びで、
江戸っ子の教養の表れでもありました。
「絵地口」といって、地口を絵にも描く、判じ物でもあります。
これに長屋の男どもも、名誉を掛けて競い合います。


この日はまた、手習いの師匠に入門する日でもあり、おとっつぁんが机を担いで、
子を連れておっしょさん(お師匠さん)のところへ行く姿も見かけます。


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京坂も江戸も、初午の日には小豆飯(赤飯)と、
からし菜の味噌和えを食べるのが慣わしだったとか・・・。
もちろん京は稲荷のご本家ですから、その賑わいはひとしおですが、
江戸のこの日の忙しさは格別です。










・・・
by edo-ukiyo-doll | 2012-02-29 14:39 | 江戸歳時記