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長命寺の桜餅

ゴールデン・ウイークは、東北の桜が満開になるとか。
ソメイヨシノは花の期間が短いので、
桜の時期はあっという間に終わってしまう気がしますが、
関東南部でも、八重桜や大島桜は、まだ咲いていたりします。


さて、春の菓子もいろいろありますが、
代表といいますと「桜餅」でしょうか。
桜餅の桜葉は大島桜の葉が使われます。
大島桜はとても香りがよくて、
開花時も一段と高い香りを漂わせています。



享保2年(1717年)・・・
暴れん坊将軍吉宗が将軍になったばかりの頃、
隅田川の川向こう(浅草の対岸)、
向島で桜餅が売り出されました。
前回お話した木母寺から河畔を南下したところに
「長命寺」という古~いお寺があって、
桜の木がたくさんありました。

ここの門番の山本新作という人が、
来る日もくる日も舞散る大量の桜の葉を履き集めながら、
この葉をなにかに使えないだろうかと考えたようです。
思いついたのは、桜の葉を塩漬けにして、
これであんこ餅をくるんでみようということでした。
おそらくは、試行錯誤の連続だったでしょう。
でも努力が実って、長命寺門前で桜餅を売り出すことになりました。

長命寺の桜餅_f0186852_11311389.jpg
墨堤の看桜のお帰りには、長命寺の桜餅。



そしてついには、地図に記載されるほどの名物となりました。
文政年間(1818~1830年)には、
1年間に40万個近い長命寺の桜餅が作られ、売れていたとか。
「長命寺の桜餅」として、
「山本や」は向島にあって、
特にこの時期にはまさに江戸の味と風情が楽しめます。

長命寺の桜餅_f0186852_1132284.jpg


                        長命寺の桜餅は、こんな籠に入れておみやげに。
                        ちなみにこの形の籠を「えぼし籠」といいます







現代の桜餅は、
関東では小麦粉を水で溶いて薄く焼いたもので餡をくるみますが、
関西では「道明寺」といって、
糯米を加工して細かく砕いたもので餅を作って餡をくるんでいます。

どちらかというと、道明寺のほうが好きですが、
長命寺の桜餅は別です。
塩漬けの桜葉3枚でくるまれた白い桜餅は、
それまで食べてきたものとまったく違った桜餅。
餅は白だけで、3枚の桜葉にすっかりくるまれているので、
餅の部分はしっとりと、とても上品です。
桜葉はむいて食べるのがよろしいそうで、
確かに3枚も一緒に食べますと、桜葉を食べるようなものですね。



こんな話はご存知?
ある日長命寺の桜餅を食べに来た二人。
ひとりが教えました。
「桜餅ってえのはなあ、かわをむいて食うんでえ」
すると相棒は、くるりと川のほうに向き、
ムシャムシャ食べ始めました。
山本やさんにおいでになりましたら、
隅田川を向いて召し上がるのもよろしいのですが、
どうぞ、皮(桜の葉)も剥いて召し上がってくださいましね。


でも、2個目は葉っぱを1枚一緒に食べるのが好きです。




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幕末には桜餅の屋台も出ました



























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by edo-ukiyo-doll | 2012-04-27 12:04 | 江戸の食べ物