隅田川の花火大会、絶好の花火日和で、
素晴らしかったですね。
ジェリーフィッシュというのが、今年の流行でしょうか。
広重さんにも、ちょいとご覧いただきたかった。
屋形船の続きです。
屋形船には台所がついているので、食材を積み込んで調理をして提供できます。
「吸ひ物を出すで屋根船そのけぶさ」
現代の屋形船でも中には、調理設備のある船もありますが、
江戸時代には裸火ですから、風向きによっては煙いのでしょう。
後には別料金で、調理専門の小舟を雇うこともできたようです。
これなら風向きに合わせて煙い思いをしないですみますね。
わざわざ調理しなくても、
隅田川の夏のシーズンには、うろうろ舟という小舟がいます。
これは西瓜や梨など水菓子(果物)をはじめ、
餅やまんじゅう、その他の菓子、またちょっとした料理したものを積んで、
船々の間を塗って売りに来るもので、
大坂なら「くらわんか舟」と呼ばれるのと同じ。
←赤い置き行燈をつけた「うろうろ舟」。
「吉野から猿に西瓜を投げてやり」
という川柳は、屋形船の「吉野丸」の近くを、猿回しの舟が通ったのでしょう。
その猿に西瓜を投げてやったというわけ。
屋形船の内部を見ますと、これは何? と思うようなものもあります。
←これも「川一丸」ですが、
舳先にこんなものが載っています。
これは「台の物」と呼ばれる
大きなな塗り台に載せた料理です。
吉原の宴席によくみられる装飾的なもので、
もとは皆でつまんで食べるように
盛ったものでしたが、
時代が進むにつれて、
このように立花も添えて
さらに装飾的になったようです。
涼み船での宴会でもやはり、
台の物は宴席の象徴なのでしょう。
これは別の船の「台の物」→
時代が少し後なので、
盛り方もちょっと違っています。
そして船の中では、太鼓や鼓、三味線など携えて、
舞踊の用意もしているようです。
こうやって楽しんでいたのですね。
宴会に音楽、暗くなれば花火が上がって、
なるほど、現代の屋形船はカラオケになりますが、
この江戸の形態をそのまま受け継いでいるのですね。
花火を見上げながら川風に吹かれ、歌に踊りに、
大宴会を催す大型の「楼船(やかたぶね)」は文化文政期には20艘ほどあったそうです。
現代の私はといえば、テレビで隅田川花火大会を見ながら、
川面を埋め尽くすほどの舟、船……、どんなに賑やかだったことかと、
江戸に思いを馳せたのでした。