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夏が終わると井戸そうじ

旧暦7月7日は七夕ですが、この日はまた江戸では「井戸替え」といって、
井戸を清掃する日です。
今年でしたら、8月24日、
ちょうど明日が七夕で、かつ井戸替えの日です。


f0186852_14374290.jpg江戸の井戸の大方は、
上水道を使って給水される末端の水汲み場ですから、
いっせいに掃除しないと、
汚れた水が次の樋を伝わって給水されてしまいます。
長屋などでは、大家の指揮のもと住人総出で、
井戸の水をすっかりくみ出し、
一年間にたまったゴミや落し物を拾いあげます。
それが終わると、水神さま、井戸の神さまに、
お神酒とお清めの塩をお供えします。
また、地域によっては、七夕に素麺を食べますから、
「井戸替えの素麺」といって、
素麺をお供えするところもあるようです。



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川柳にこんなのがあります。
「ありがたさ たまさか井戸で 鮎を汲み」
井戸で鮎が泳いでる?
玉川とつながってはいるでしょうけれど、
ほんとに鮎が井戸に?? 
「井戸替えに 大家とみへて 高足下駄」
井戸を浚う住人はみな裸足でしょうけれど、
大家さんは口は出すけど手も脚も出さない
・・・・なるほど。
足がぬれるのさえ、イヤってことですね。
でも、大家さん(大家は家主ではなく、長屋の管理人的存在)は、
みなの衆、よくやりましたなと、酒など振舞います。

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この井戸替えは、井戸浚い(いどさらい)は、江戸だけでなく、
上方でもやはりこの日にやるらしく、商家などでは大賑わいの一日だったと聞きます。


こんなに暑くても、きょうは処暑。
立秋もだいぶ前に過ぎ、もう暑さも収まる・・・・・・という意味です。
お住まいのところでは、暑さは収まりつつありますでしょうか?
明日が本来の七夕。
晴れていれば、街の明かりがジャマをしなければ、
牽牛と織女の天の川での逢瀬が見られます。
無事に夏も越せたと、夏越の祓いも済み、
後の半分も息災でありますよう、
長屋の住民も、力を合わせて井戸浚いをするのでしょうね。

みなさまもどうか、ご息災で、とにもかくにもこのクソ暑さ、
乗り切ってくださいましね!
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by edo-ukiyo-doll | 2012-08-23 16:01 | 江戸ぐらし | Comments(0)

涼を運ぶ江戸のアイテム

江戸のころの涼を呼ぶ工夫のひとつに、
こんなものがあります。
画の左下に描かれた緑の置物。

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水盤部分を拡大しています。
稗のなかに笠と蓑をつけ、弓矢を構えた狩人。
向こうに鶴がいます。金魚もいますね!


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現代ではこのようなものは、「水盤」と呼ぶようですが、
江戸のころには「稗蒔(ひえまき)」と呼んでいます。
平たい陶磁器の器に、みどりの苗のようなものを植えてありますね。


この草が稗で、夏になりますと
「ひえまァき~、ひえまァき~」という呼び声で売りにきます。
稗蒔売りは、天秤棒に四つ手にした台を提げ、
4,5センチに育った稗を入れた水盤を載せて、町中を流します。
この水盤は、小さいのなら5寸(約15センチ)から、
大きいのでは1尺(約30センチ)のもので、
これは田んぼや水辺の葦などに見立てたものですから、
ここに小さな橋や、笠に蓑をまとった小さな人形、
鶴と狩人などの今で言えばフィギュアを置いたりしています。


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上の画に見えるのは、上から水を入れると
噴水のように水が吹き上がるもので、
「水からくり」といいます。

「稗蒔のわづか四文の青あらし」
売りに来る稗蒔は小さいのだと四文(80~120円ほど)で、
青々と草をゆすり吹き渡る初夏の風を思わせるのでしょう。


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水からくりには、こんな大がかりなものもあります。
上の瓶に水を注ぐと、水圧でしたまで勢いよくきて、
円錐形の部分から引きあがる簡単な仕組み。
大人の「夏の自由研究」に、身の回りにあるものを利用して、
「水からくり」作ってみませんか?
江戸の涼を呼ぶ水盤や水からくり、
涼しげでしかもたのしい! 家族で楽しめますね。




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一番上の画を参考に制作した「カニさん」。
水盤も狩人と鶴を作って入れました







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by edo-ukiyo-doll | 2012-08-19 08:54 | 江戸歳時記 | Comments(0)

江戸の盆


江戸のお盆は、なかなかに忙しいのですが、文月12日には、盆市が立ちます。
盆市はお盆の行事に必要なもの一切を商う市で、「草市」とも言われます。
東京ならば、もんじゃ焼きで有名になった月島で、
新暦のお盆になりますが、現在も続いていて大いににぎわっています。
      

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お盆は盂蘭盆会のことですが、
文月の13日~16日は「魂祭(たままつり)」といって、
ご先祖さまの霊を迎える習慣は、現代もおなじですね。
現代よりはもっとしっかりしてまして、
家の中には竹で精霊棚を作り、ここにお供えをします。
そういえば子どものころ、田舎の祖父の家で精霊棚を見た記憶があります。
その土地ではお墓の前にも小さな精霊棚をつくって、お供えをしていましたっけ。



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さて、江戸です。
7月12日の昼から、
市中の各所で開かれますが、
12日は吉原仲ノ町、深川櫓下、
本所四ツ目などで。
13日には日本橋や両国、
人形町などで、さまざまなものが売られます。

竹、菰のむしろ、間瀬垣(ませがき)、苧殻(おがら)、ほおずき、
白や黄の茄子、紅花、榧(かや)の実、青柿、青栗、秋の花々、
蓮の葉、蓮花、瓢箪、瓜などで作った牛馬、盆燈籠、盆提灯、
線香、焙烙(ほうろく)、
そのほかに、さまざまな菓子や食べ物も売っています。
盆市でなくても、荷担い売りが町にやってきますので、
それでもお盆のしたくはできますが、やっぱり市は楽しみです。



12日の夜には、迎え火をたきますが、
いまでも土地によっては、迎え火、送り火をたかれるところもありますね。
場所によっては13日の朝にたくところもあります。
これは十億万土の彼方から、
精霊が迷わないでたどり着けるようにとか、
たいた煙に乗ってやってくるから、などと言われています。



盂蘭盆会の期間を「盆中」と呼んで、
墓参りをしたり、僧侶を家に呼んでお経をあげてもらうのは、
これも現代でも同じですね。


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現代で見られない盆の様子があります。
江戸の街中では、女の子たちが手をつなぎ連なって、
歌を歌い歩くのですが、これが「かまびすしい」とまであります。
これは、延宝5年(1677年)には禁令が出るほどで、
文月に入るなり、女の子たちはいたるところで踊りまくり、
衣装も華美になって、エスカレートしていったためのようです。



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文月の13日には、
王子稲荷の大祭もありますし、
吉原の灯籠も
見に行かなくっちゃならないし、
盆踊りも参加したいし、
江戸のお盆は大忙しで、
16日の朝に送り火をたいて、
ご先祖さまをお送りして、
やっと一息つける、
といったところでしょうか。


盆灯篭もとってもきれいで、心惹かれます。
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by edo-ukiyo-doll | 2012-08-13 20:08 | 江戸歳時記 | Comments(0)

枇杷の葉のお茶を飲んでる方もいらっしゃるのではと思いますが、
江戸の頃には、「枇杷葉湯」といって、枇杷の葉に、
肉桂(にっけい)や甘草(かんぞう)など、数種の薬草を混ぜて煮出した、
いわばハーブティーは、夏の定番の手軽な煎じ薬でした。
暑気当たりやかくらん、くだり腹に効くそうで、
甘草が入っているので、ほのかに甘いのでしょう。
無料で飲ませて宣伝し、良ければ買ってもらうという販売です。

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上の図の右にいるのが
枇杷葉湯売り。
拡大してみます。














  「枇杷と桃 葉ばかりながら 暑気払い」
桃の葉も、あせもや湿疹など皮膚の炎症などを抑えるので、
お風呂にいれたり、特に夏には欠かせないものです。
枇杷も桃も実を食べるのに、「葉っぱばかり」使うのと、「憚りながら」をかけた川柳。


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これも枇杷葉湯売り





本店は京の烏丸にあり、江戸には天明(1781~88年)の頃に、
薬炉を取り付けた箱を担いで、通りを行く人々に飲ませる・・・・
ってなことを、太田南畝が書いているそうで、
これが「京の烏丸枇杷葉湯」という薬売りです。
箱には烏がトレードマークになっていて、夏の江戸の風景にはよく見かけます。
   「京の烏を江戸で売る熱い事」
   「真黒になって売るのは烏丸」



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一方の定斎屋。
「是斎屋(ぜさいや)」ともありますが、
「じょさいや」というのが江戸風のようです。
町を売り歩く薬屋ですが、
夏の諸病に効果があるという薬を売っているので、
江戸の夏の風物詩ともなっているほどです。
濃紺の印半てんに股引(夏は脚絆のことも)、
炎天下でもけっして笠や手ぬぐいはかむらず、
「これを飲んでいれば、ほれこの通り暑気もなんのその」
という宣伝でもあるわけです。

   「定斎屋は色が黒いが自慢なり」
天秤棒で箱を担いでいますが、
この箱には朱や青貝の螺鈿で、
「定斎」あるいは屋号などが入っています。
屋手長の箱には、小さな引き出しがたくさんあり、
ここに付いている取っ手が「鐶(かん・金属のCの字型)」になっていますから、
歩くたびに、カタカタとリズミカルな音がします。
売り声を上げずとも定斎屋が来ているのは、この鐶の音でわかります。


「鬼のかくらん」といいますが、
日本では暑気あたりや日射病などのこともさしたようで、
江戸の頃には経験的にこのような薬で、対処していたんですね。









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by edo-ukiyo-doll | 2012-08-09 12:29 | 江戸歳時記 | Comments(1)