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夏ごはんは「夕鯵」

鯵は年間を通して出回る魚ですが、
夏に一番おいしいのだと、
漁師さんや魚市場の人たち、釣り人たちもよく言います。
漁村育ちの私も、やっぱりそう思います。

そして江戸でももちろん、夏を中心によく獲れ、この時期の鯵は、
「六、七寸ばかりに過ぎずして円肥なるもの、味わい、はなはだ香美にして、
最も炙食によし、あるひは鮓となし、煮となし、膾となすも、また佳なり。」
と、元禄期の『本朝食鑑』という書物にも書かれています。
20㎝くらいの丸々したものは、すこぶるおいしく、
焼き魚にしたら最高だし、鮓にしても、煮ても、あるいは野菜と和えてもうまい、
というほどの意味。

江戸ではことに「夕鯵」と呼んで、
夏の晩ごはんには人気の一品になります。
日中に近海で漁をして、河岸からすぐに小売りの魚屋が担いできますから、
夕方には町々に「あじぃ、あじ」という呼び声で、
今夜は鯵の刺身で一杯! など思う人も多かったのでしょう。

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    広重画 海老と鯵


「鯵を呼べやいと盥(たらい)の中で言ひ」
だなんて、亭主が裏庭で行水していると、
塀の向こうから鯵売りの声が聞こえたのでしょう、
「鯵、買えよ~」と盥の中から叫んでいます。

「水うったあとに涼しきあぢ(鯵)の声」
魚屋は日が傾きかけ、打ち水された路地にも入ってくるのでしょう。
扇風機だってない江戸の人々にとって、
打ち水の上をふいてくる心地よい風、行水でさっぱりして、
さて、夕鯵の晩餉(晩飯)はこれぞ夏! 

ピン! と反り返った新鮮な夕鯵のうまさは、庶民だけの物ではありませんで、
「物見から鯵よ廻れの品のよさ」
武家屋敷の物見やぐらからでしょうか、下を通る魚屋に声がかかります。
「廻れ」というのは勝手口、台所に廻れということ。
お武家ですからその呼び止める口調にも品の良さがあるのですね。
ドラマのワンシーンみたいです。

さて、今夜は房州沖の鯵を買いましょうか。
たたきや刺身もいいのですが、子どもの頃に良く作ってもらった「鯵のあんかけ」が懐かしい。
粉をまぶして油で焼いた鯵に、千切りの人参、玉ねぎ、ピーマン、筍など、
夏野菜をあん仕立てにして、お酢もきかせ、
焼いた鯵にたっぷりとかけていただきます。

では、みなさまも今夜は「夕鯵」、たんと召し上げれ。









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by edo-ukiyo-doll | 2016-07-16 07:09 | 江戸歳時記 | Comments(0)

「夕涼み」より 「辻占売り」と「枝豆売り」



お江戸の夏の宵は、なかなかに賑わしい。


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大きなちょうちんを下げた男は、辻占売り。
辻で占いをしていたところから「辻占」と呼ばれるようになったが、
辻占売りのスタイルもさまざまで、これは「かりんとう売り」の格好。
元は深川の「山口屋」といって、かりんとうを売る店の委託で、
かりんとうを売っていたのを、
次第にかりんとう売りから、辻占売りになっていったという。

また一説では、最初は辻占だけを売っていたのが、
いつしか、せんべいやかりんとうに、
札をつけて売るようになったというものだ。
夜に、大きなちょうちんを下げ、
「香ばしやかりんとう・・・恋の辻占・・・」
と歌い歩いたそうだ。





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   一方右の写真は「枝豆売り」。
   かの『守貞漫稿』に、
   夏の夜にこれを売る。
   特に貧しい層の人々の生業で、
   売り手は男女両方いるが、
   江戸では女子が多いとある。



時代が少し下ったころのものと思われるが、
「あわれさは 枝豆売りに 首二つ」
という句が残っている。
必ずといっていいほど、赤ん坊を背負っての仕事だったことをいっている。

京阪では「さやまめ」というが、
江戸では枝付きのまま売るので「枝豆」と呼ばれる。

辻占は年間を通してあったが、
枝豆売りは当然、夏だけの風物詩となる。






*註 すべての人形作品の、無断転写・複写を禁じます。
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by edo-ukiyo-doll | 2009-07-13 00:51 | 「江戸浮世人形」 | Comments(0)

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