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タグ:秋の七草 ( 3 ) タグの人気記事

秋草文様あれこれ

やっと秋らしい空が見られるようになりました。
異常気象は、これからも続くのかもしれませんが、
それでも草花が、野山に季節を彩るのはうれしいことです。

四季のある日本では、古くから四季の花々が文様にも取り入れられてきました。
「春の七草」は食用とされることが主ですが、
「秋の七草」は観賞されることがメインです。

「萩の花 尾花 葛花 なでしこの花
        女郎花 また藤袴 あさがほの花」
 
    これは『万葉集』に収められた山上憶良の歌ですが、
    「秋の七草」の始まりがここにあるといわれます。
    萩、尾花(ススキ)、葛花(葛)、撫子(なでしこ)、
    女郎花(おみなえし)、藤袴、あさがお、
    この7種が秋の七草といわれています。



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「秋草の七草」を取り入れた振袖。





〈萩〉は梅雨のころに咲く「五月雨萩」もありますが、
猛暑もおさまった今、あちらこちらで赤紫の萩が、優雅な線を描いて花をつけています。
マメ科の多年草で、「鹿鳴草(しかなぐさ)」とか、「つきみぐさ」などとも呼ばれ、
秋の野の代表的な花。


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「萩」の振袖。


〈尾花〉はススキのことですし、
〈女郎花〉や〈撫子〉は
園芸種もあって、わりと目にできる
秋草ですね。
撫子は夏から開花しているので、
夏の花とされることもあります。



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歌舞伎『蘆屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)』の
「葛の葉」の衣装に描かれた「尾花」。
「葛の花」ではないところがミソ?
右上は拡大図。





〈葛〉はちょうど今花が満開になっていますが、
根は葛粉や葛根湯として有名なわりには、文様としてはあまり見かけません。
〈藤袴〉は、『源氏物語』や古歌に登場します。
乾燥させると蘭あるいは桜餅のような芳香を放ち、
「蘭草」とか「香草」、あるいは「紫蘭」などとも呼ばれます。
現在は園芸種も多く出ていますが、本来の〈藤袴〉は、
準絶滅危惧種に指定されるほど、少なくなっているそうです。



さて、最後の〈あさがほ〉ですが、
万葉の頃の「あさがほ」は、「桔梗」のことを指すとも言われていますが、
「桔梗」だけではなく、「木槿(むくげ)」や「朝顔」のことを総称しており、
場合に応じて使い分けていたとも言われます。
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by edo-ukiyo-doll | 2013-09-26 00:47 | 江戸の文様・江戸の色 | Comments(0)

萩揺れて。

10月なのにまだ暑い今年は、まだ萩が咲いているのを多く見かけます。
どうやら花のつくのが遅かったようです。

秋の七草の萩ですが、ずいぶん古くから日本にあったらしく、
草冠に秋・・・・・・「萩」という文字も日本で作られたようです。
万葉集に登場する植物では、「萩」が第1位だってご存知でした?
それほどに、暮らしに身近な植物だったということなのでしょう。

生薬として使われたり(根はめまいやのぼせ、またイボの薬としても使われた)、お茶にもなるし、種は粉にして飯に混ぜたり。
家畜のエサにもなれば、はいだ皮で縄もなえ、屋根を葺いたり垣根にしたり、染料にもなりました。


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西行に
「乱れ咲く野辺の萩原分け暮れて
       露にも袖を染めてけるかな」
という歌があって、萩原というほど、
そこらへんに群生していたのだなあと、思わせます。




萩はまた、秋の七草として江戸期にも人気があり、
寺島村百花園(現在の向島百花園)では、秋の七草を愛でる遊人が訪れます。

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  寺島村百花園の萩


さらに萩だけを楽しむなら、亀戸の「慈雲山竜眼寺(龍眼寺)」が随一。
推古天皇が殖髪(うえかみ)聖徳太子像をこの寺に収めたといわれています。
それから時がたち、明和3年(1766年)には、
太子堂を建立するために境内に萩を植え始め、
それが次第に増え、文政ころには「数千叢(すせんそう)」にもなったとありますから、
まさに「萩寺」と呼ばれる風格となったようです。
今は境内からスカイツリーも見え、規模は縮小されましたが、
江戸を偲ぶにはよいかもしれません。

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亀戸の龍眼寺の萩の庭


萩を用いた工芸品も多く残っていますが、
浮世絵などにもよく萩が見られ、江戸時代の古典への懐古をうかがわせます。
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by edo-ukiyo-doll | 2012-10-06 15:53 | 江戸の園芸 | Comments(0)

秋の七草



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「秋の七草」

上の画は歌川広重作『冨士三十六景』中「甲斐 大月の原」。すすき、桔梗に小菊、おみなえしなど秋の花の中に、すっくりと立つ冨士は、もう雪を抱いているのだろうか・・・。


「萩が花尾花葛花撫子の花
         女郎花また藤袴朝顔の花」
と詠んだのは、山上憶良です。
そしてここには「秋の七草」が読み込まれていて、
この歌さえ覚えれば、ちょっとした物知りに!(かな?)
萩は長い枝に小さな薄紫の花をつけて、風に揺れる風情がいかにも秋。
尾花とはススキのこと。あのふさふさした狐の尾っぽのような穂は花です。
その穂の部分で作ったミミズクで有名なのは雑司ケ谷で、
今でも名産品になっています。

葛はちょっと郊外の山野にまいりますと、
あらゆるものに絡み付いて覆い尽くしています。
この根から取れるのが、正真正銘の葛粉です。花はピンクで小さな可憐な花です。
撫子は英語でピンク。そう、色の名前、「ピンク」の語源となっている花です。
女郎花(おみなえし)は、1メートルもの高さになり、
山野にはたくさん自生しています。黄色い小さな花を平たい状態につけます。
この根も漢方薬では乾燥させ、利尿剤として使われます。

藤袴は今ではあまりなじみのない花ですね。
高さが1メートルくらいになりまして、薄紫の房状の花をつけます。
最後の朝顔の花、というのが少々クセモノでございまして、
じつはこれ、桔梗のことを指す、というのが定説になっています。

この秋の七草は、春の七草が漢方薬として多く遣われるのに対し、
その美しさから、図柄として愛されてきました。
小袖や工芸品、襖絵や屏風絵として今も数多く残っています。

都会にお住まいでも、花屋さんの店先で、ススキや桔梗、女郎花、撫子などが見られます。
もっと自然の中でお住まいなら、
七草以外にもたくさんの種類の野菊や
マツムシソウにリンドウなど、さまざまな花に出会えます。

ほんの一輪でもお部屋の中にあると、
グンと秋が近づいているような気がしますね。
「目にはさやかに見えねども・・・」
秋はもう、ほら、そこまで来ています。







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by edo-ukiyo-doll | 2008-09-17 15:29 | 江戸の園芸 | Comments(2)