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浅草海苔のお話

知多半島の先にある篠島というところが好きで、何度も行きました。
夏もよし、冬もまたよし。
夏は釣りも海水浴もできますが、冬がいいというのは、ここでは海苔がすばらしくうまい。
生海苔は、この時季でなければ味わえない逸品です。
ところが最近、千葉産の生海苔が手に入るようになり、
篠島まで行かずとも、冬の生海苔が味わえるようになりました。

よく海苔の缶に「浅草海苔」と書かれていますね。
「浅草海苔」は紙状の乾燥海苔の代名詞ともいえるでしょうか。
「アサクサノリ」という種類の海苔もありますが、
総称して「アマノリ」というようです。
そして冬場が海苔の季節でもあります。

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←海苔屋の店さき風景



もともと浅草には「浅草紙」といって、
早くから紙漉きの技術がありましたので、
隅田川の河口で採れていた海苔を、
その技術を応用して紙状に乾燥させ、
保存と運搬の効果を大いに発展させたようです。
ところが江戸の町が拡大するにつれ、
元禄の頃からは大森や品川あたり、河口ではなく、
江戸湾の汽水域に海苔の養殖場を作ったのだとか。
浅草海苔のお話_f0186852_11394664.jpg


品川や大森あたりの海では、
こうして「ヒビ」を立てて、手摘みでした。
今はロープの網に養殖し、巻き上げ機で採取しますが。
「ヒビ」というのは、
海苔の養殖用の細い枝の付いた木や笹竹のことで、
これを海の中に立てて、海苔が付き、
成長したところで採取します。


浅草海苔のお話_f0186852_11443145.jpg
海苔は長いので、これを細かく裁断し、
紙を漉くようにすだれに漉いて、天日で乾燥させます。
その様子が、上の画に描かれています。


千葉のディズニーランドに近い浦安というところの川っぺりで、
ざるそばのざるがたくさん干してある! と思ってよく見たら、
それはまさしく、海苔を干すためのすだれと、その枠だったと気づきました。

山本周五郎に「青べか物語」というのがありますが、
浦安の海苔採集の小舟「べか舟」のお話ですね。
ここもまた海苔の養殖地だったのです。
浦安はもともとは漁師町でしたが、今も少し歩くとその面影が偲ばれます。



ちなみに2月6日は「海苔の日」だそうですよ。
それから、冬の波に身をさらしながら
漁師のオカミさんたちが採る「岩海苔」は、格別です!


















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by edo-ukiyo-doll | 2012-02-26 16:22 | 江戸の食べ物