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秋草文様あれこれ

やっと秋らしい空が見られるようになりました。
異常気象は、これからも続くのかもしれませんが、
それでも草花が、野山に季節を彩るのはうれしいことです。

四季のある日本では、古くから四季の花々が文様にも取り入れられてきました。
「春の七草」は食用とされることが主ですが、
「秋の七草」は観賞されることがメインです。

「萩の花 尾花 葛花 なでしこの花
        女郎花 また藤袴 あさがほの花」
 
    これは『万葉集』に収められた山上憶良の歌ですが、
    「秋の七草」の始まりがここにあるといわれます。
    萩、尾花(ススキ)、葛花(葛)、撫子(なでしこ)、
    女郎花(おみなえし)、藤袴、あさがお、
    この7種が秋の七草といわれています。

秋草文様あれこれ_f0186852_07510636.jpg

「秋草の七草」を取り入れた振袖。

  〈萩〉は梅雨のころに咲く「五月雨萩」もありますが、
  猛暑もおさまった今、あちらこちらで赤紫の萩が、
  優雅な線を描いて花をつけています。
  マメ科の多年草で、「鹿鳴草(しかなぐさ)」とか、
  「つきみぐさ」などとも呼ばれ、
  秋の野の代表的な花。


   秋草文様あれこれ_f0186852_2352115.jpg


                                    「萩」の振袖。

〈尾花〉はススキのことですし、
〈女郎花〉や〈撫子〉は
園芸種もあって、わりと目にできる
秋草ですね。
撫子は夏から開花しているので、
夏の花とされることもあります。





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   歌舞伎『蘆屋道満大内鑑
   (あしやどうまんおおうちかがみ)』の
   「葛の葉」の衣装に描かれた「尾花」。
   「葛の花」ではないところがミソ?
    右上は拡大図。







〈葛〉はちょうど今花が満開になっていますが、
根は葛粉や葛根湯として有名なわりには、文様としてはあまり見かけません。
〈藤袴〉は、『源氏物語』や古歌に登場します。
乾燥させると蘭あるいは桜餅のような芳香を放ち、
「蘭草」とか「香草」、あるいは「紫蘭」などとも呼ばれます。
現在は園芸種も多く出ていますが、本来の〈藤袴〉は、
準絶滅危惧種に指定されるほど、少なくなっているそうです。



さて、最後の〈あさがほ〉ですが、
万葉の頃の「あさがほ」は、「桔梗」のことを指すとも言われていますが、
「桔梗」だけではなく、「木槿(むくげ)」や「朝顔」のことを総称しており、
場合に応じて使い分けていたとも言われます。



















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by edo-ukiyo-doll | 2013-09-26 00:47 | 江戸の文様・江戸の色