月遅れのお盆には、あちらこちらで盆踊りの太鼓や音楽が聞こえてきます。
房総半島に引っ越したころ、どこからか盆踊りの音が聴こえてきて、
辿って行ったらすごく遠いとこで、歩いていったら、
帰りが大変だったことを思い出します。
東京にお住まいの方も、各地にお住まいの方も、
盆踊りは懐かしい夏休みの思い出でしょう。
盆踊りというものの起源は古いです。
しかも純粋に日本発祥の物のようです。
平安時代に空也上人が、民衆に念仏を広めようと、
自ら瓢箪をたたいて、
念仏を今の歌のようにメロディーに乗せて歌うがごとくに唱え、
踊りも付け、
「踊念仏」というものに仕立てたのだとか。
さらに時代が下って鎌倉時代には、
一遍上人を中心とする「踊る」僧、尼僧たちは、
いわばトランス状態にもなり、まさに「踊る宗教」!
これは「念仏踊り」といわれましたが、
またたく間に全国に広がって、
一大ブームを巻き起こしました。
踊り&唱えることによって、救済されるとなれば、
民心は激しく共鳴しないはずがありません。
どうやらこれが、盆踊りの起源のようです。
やがてこれが盂蘭盆会の行事と結びつき、
死者の魂の帰ってくる盆中に、
死者の姿を映して頬被りをして踊る、
という風習が残っている地域もあります。
今も秋田県の西馬音内(にしもない)では、
踊り手の中には黒頭巾をかぶって踊る姿があり、
折り笠を深くかぶった女性の踊り手と相まって、
それはそれは優雅で風雅な盆踊りです。
さて、江戸時代の盆踊り浮世絵。
「うちわ絵」らしいのですが、
とっても楽しそうな盆踊り。
西瓜を両手に、
食べ終わった西瓜の皮をかぶった人。
閼伽桶(あかおけ/墓参りの水桶)を
かぶった稚児さん。
坊さんみたいな人は蓮の葉っぱをかぶり、
隣のおいちゃんは
器用に頭に盆灯籠を載せてます。
室町時代には、太鼓をたたいて踊るようになりますが、
江戸時代に入ると、民衆の経済力や独自性が強くなったことや、
次第に宗教性よりも娯楽性が強くなったことなどから、
音楽や衣装も凝ったもの、斬新なものが人気を呼び、
それが各地で独自に発展していきました。
また、もともと日本的信仰のおおもとでもあった
性の解放的な雰囲気と結びつき、
男女の出会いの空間ともなります。
左のような「源氏絵」にも描かれたのを見ると、
実におおらかな、
なんと楽しい空間だったことでしょう。