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いずれあやめかかきつばた

どれもが美しく、甲乙つけがたい、という時に
「いずれあやめかかきつばた」
なんて言います。
「いずれがあやめかきつばた」
という場合もありますが、少し意味が違ってくるようです。

このあやめとかきつばた、違いがなかなか判りませんね。
あやめは乾いたところに育ち、花の芯の方が白くさらに黄色が入って、
その部分に濃い紫色の網目のような筋が入っています。

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   ←これは我が家の庭のあやめ。


一方かきつばたは水辺や湿地帯に育ち、花の芯のところは白いだけで筋は入りません。




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有名な尾形光琳の「燕子花図屏風」。花の芯は確認されませんが、燕子花はかきつばたと読ませています


「菖蒲」と書けば「しょうぶ」ですが、「あやめ」とも読みます。
端午の節句にお風呂に入れる「しょうぶ」と「あやめ」は、
葉の形がそっくりですが全くの別物。
かきつばたは「杜若」や「燕子花」と書きますが、これらは漢名からとったもの。
しかし両方ともかきつばたとは異なった植物なので、誤ってネーミングしたのが現代でも使われているのでしょう。


さて、江戸時代には園芸が一気に花開き、それがあらゆる分野に広まって、
豊かな文化を作ることにもなりました。
あやめやかきつばたもまた、着物の文様にたくさん使われました。

江戸時代にはすでに植物としての「あやめ」と「かきつばた」の違いは
わかっていたのですが、
一般的にはその呼び名はあいまいだったようです。
ただ、水とともに描かれればそれは「かきつばた」です。

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  左の着物の文様が上の「水」と「かきつばた」


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 左の若衆髷の少年が着ている
 振袖の文様も「水」と共にあるので
 「かきつばた」





上の二つは水辺に咲いているので、かきつばたですね。
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上はあやめなのか、かきつばたなのかわかりませんが、
「あやめ立涌(たてわく)」または「かきつばた立涌」という図柄。

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  ぼかし染めに麻の葉文様、
  そこにあやめ(またはかきつばた)を
  散らした振袖。







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  左の画は背景に「菖蒲」と書かれていますが、
  「あやめ」と読ませるのでしょう。

 



江戸時代の役者(歌舞伎の役者)に、
芳澤あやめというとても人気のあった上方の女形がいましたし、
「杜若(とじゃく)」という俳号を持っていたのは、
岩井半四郎で、特に五代目は「杜若半四郎」とまで呼ばれ、
その人気ぶりは多くの浮世絵に描かれています。

















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by edo-ukiyo-doll | 2016-05-11 17:15 | 江戸の文様・江戸の色

「水辺の花菖蒲」


春先に、初夏のような暑い日があったのに、ここしばらくは冬のような寒さでした。
それでも、こちらではさまざまな種類の桜も終わりを見せ、
藤が美しい色に開き始めました。
杜若(かきつばた)も見ましたよ。
あっという間に、初夏の花が咲き出すのかもしれない、
異常な気候のこのごろです。
 

さて、端午の節句(本来は現代のカレンダーでいえば6月13日が端午の節句)もちかいので、
少し早めに菖蒲のお話です。

端午の節句に、菖蒲湯に入りますか?
菖蒲湯で使う「菖蒲と」、花のみごとな「花菖蒲」は別物です。
菖蒲湯に入れる葉の方は、サトイモ科で、
香りは強いのですが花は地味です。
一方、花を愛でる花菖蒲はアヤメ科で、
園芸的に改良によって作り出されたものなのです。

江戸時代末期、「菖翁」と称した松平定朝左金吾というお旗本が、
彼の父が収集した花菖蒲をもとに、長年にわたって自ら改良を重ね、
約200種までも増やしました。
 
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東京の葛飾区に「堀切菖蒲園」という、
花菖蒲専門の庭があります。
ここは堀切の農家の伊左衛門という人が、
相模の国から持ち帰ったものや、
前述の菖翁から譲り受けたものを、これも長い間、研究と栽培を重ね、
やがて一般に公開した場所が、この「堀切菖蒲園」です。
敷地面積は当時より、だいぶ小さくなったようですが、
以前行ったことがあって、花の頃には丹精された花菖蒲が、
それはそれはみごとでしたよ。
まあ、人が多いのは仕方ないとしても、花の美しさは格別。
右の画は英山が描いたもの。 
                               
                                     
「堀切菖蒲園」は江戸時代最後に誕生した花の名所だそうで、
広大な花菖蒲園には、八ツ橋のように板で橋が架けられ、
趣のある風景は広重や豊国も描いていますね。


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         ↑『江戸浮世人形』より「水辺の花菖蒲」

そんな浮世絵の1枚をもとに作ったのが、この作品です。
初夏の水辺に咲く花菖蒲を眺める女二人。
日除けのために菅笠をかぶった女は、
曙色の井桁絣の単衣に前帯姿で、いかにも既婚者の装い。

しゃがんで手を伸ばしている若い女は、
黒地に白い霞文様の薄物の振り袖
なので、二人は母娘といったところでしょうか。

花菖蒲の向こうには、
五月雨萩(さみだれはぎ)が初夏の風に揺れています。
























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by edo-ukiyo-doll | 2013-04-13 11:31 | 「江戸浮世人形」

「江戸浮世人形」人形師・岩下深雪の江戸はここにあり       ホームページ開設 http://edoukiyoningyo.edo-jidai.com


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